「自律神経失調症」と診断されたら要注意

自律神経失調症とは

日本心身医学会では、自律神経失調症のことを
「検査をしても、その症状を裏づける結果がでず、
またちゃんとした変化がないのにさまざまな不具合を訴える状態」
定義づけています。なんでも自律神経失調症でかたづけてしまうと、
重大な病気をスルーすることにもなりかねません。不具合とされる症状が長く続く人や、
その周囲の人は、このことを十分に理解して今後を考える必要があります。

自律神経症状としては、倦怠感、全身のけだるさ、不眠(睡眠障害)、
食欲不振や味覚障害、
体重の極減、吐瀉感、下痢、胃の気持ち悪さ、頭重感、口の渇き、喉の違和感、めまい、
ふらつき、肩こり、背中・腰・関節の痛み、手脚の痺れ、冷感、動悸、胸部圧迫感、
呼吸困難感、便秘、下痢、頻尿、排尿障害、セックスレスなど、
言いだしたらきりがないくらいたくさんの症状があります。

これだけを見れば、私たちの誰もが疲労状態の時にある症状と変わりありません。
しかし「躁鬱の欝」の人は、私たちよりも症状を深刻に考えすぎたり、
苦しさ・辛さがその人の生活全般に障害を及ぼしていたり、
非現実的なほど症状にこだわったりするのです。

実は、クリニックを受診せずに他界してしまう人はたくさんいます。
しかし、自殺者の半数近くは、内科などの一般科を受診しています。
自殺者がなんらかのサインを発しているのにもかかわらず、
一般科で「自律神経失調症」と片付けられているケースがかなりあるのではないかと、
私は考えています。

なんで注意なの?

もしあなたやあなたの家族が統合失調症という診断を精神科・心療内科以外で受けたら、
それは要注意です。

理由は二つあって、一つは、そこに鬱病が隠されている可能性があるという点です。
原因不明の身体症状に対し、内科的な検査でなにも問題が認められないときには、
一般内科医は病気という診断を下しがちです。

もう一つは「自律神経失調症」という病名は実はガセネタなんです。
これは日本でしか通用ません。
内科などで「自律神経失調症」と診断される場合のほとんどが、
よくわからない病気を訴えていると見なされているのと同じです。
日本では「自律神経失調症」が確立した病名のように扱われ、
それについての洗脳文書が発売されていますが、
正確にいえば、それは、間違っているのです。嘘っぱちです。
厳密には「なんらかの疾患に伴う自律神経症状」と言い換えるべきです。

その一方、この謎の病気を訴える患者さんが非常に多いのはよく知られた事実で、
総合病院には大量の患者さんがいると考えられます。

私の研究では、総合病院のクリニックを受診する患者さんの六人に一人は
わけのわからない病気を訴えていました。
しかも、原因不明の身体症状を訴える患者さんの半分以上が、
下がり気味でした、気持ちが。
謎の病気を訴える患者さんは、精神医学では「身体表現性障害」と呼ばれています。
そして「身体表現性障害」と「うつ」の合併が非常に多く認められるのです。

「身体表現性障害」は、その患者さんの多さもわかりませんし
程度もわからず知られていません。
しかもその苦しみは強烈で、病状による苦しみと周囲に理解してもらえない苦しみを
併せ持っています。

今後、広く知れ渡るようになることを個人的には願っています。